メガネは実店舗で買ってはいけない!? レンズ交換を通販でしてみた結果...
メガネを実売店で買うデメリットとは
メガネは数年おきに買い替えが必須
メガネを日常的に使っていると、度が合わなくなったり、レンズに傷が付いたり、コーティングが劣化したり、加齢で老眼が進んだりするので、数年おきに交換が必要になります。
メガネ使用者にとっては負担が少なからず発生しますが、 無いと日常生活に支障をきたすので買い換えないわけにもいきません。
ネット通販を20年以上使っていて、メガネは一回も買ったことがなかった理由
僕は1990年代後半から本格化したネット通販を当時から使っていますが、メガネはネットで買うことがなかった、数少ない商品のうちのひとつです。
メガネが通販で買いにくい理由としては、
・視力の測定が必要
・フレームのサイズ感やフィット感は通販ではわからない
・つるの長さの調整が必要
などが挙げられます。
視力については眼科に行って処方箋を書いてもらうという方法もあります。
メガネ店の測定で作ったメガネの度が合わず、作るたびに眼科に行くという人も知っていますが、僕の場合はメガネ店の測定で失敗したことがありません。最近はいきつけのメガネ店で過去のデータと比べながら選んだりしていました。
通販のレンズ交換を検討してみる
最近、4年ほど使っているメガネレンズのコーティングが劣化してきて、汚れを軽く拭き取ることができなくなり、交換が必要になりました。
フレームは使えるので、レンズのみ交換の検討を始めました。
近所のメガネ店の折り込みチラシがたまに入ってきますが、屈折率1.67でUVカットと撥水コートが付いたレンズが税抜きで9,000円くらいの価格になっています。
これにブルーカットや他のオプションを付けていくと、2~3倍の価格になることもあります。
また、メガネ店の広告で、レンズのメーカーが記載されていることはあまりありません。
フレーム&レンズセット1万円均一などという広告では、レンズの屈折率のみ記載され、レンズのメーカーやコーティングの種類も書かれていない、というようなものも珍しくありません。
広告を見て店に行ってみると、撥水コートや何やらがみんなオプションで、実際の購入価格は5,000~10,000円アップ、などということも普通にあります。
何回もこういうことをやっていると、実店舗のメガネ店に対する不信感も募ってきます。
そろそろ実店舗を卒業する頃合いか、とメガネ通販を調べ始めました。
メガネ店で教えてくれなかったこと
僕のメガネ使用歴は30年以上で、今までに購入した店舗も地元の店から全国チェーンまで、10店舗以上あると思います。
今回、自分でレンズ入れ替えについて調べていると、今までどこの店でもまったく説明してくれなかった重要なことがいくつもあることに気づきました。
メガネを買うとき、当然知識として知っているべきなのに知らない、聞いた覚えもないというのは、メガネ店できちんとした説明をされていないのではないかと思います。
以下に詳細を記載しますが、メガネを何年も使っていて、これらを知らないという方がいたら、メガネ店の接客に問題があるのかもしれません。
これを読んでいる皆さんが全員、ここに書いてあることは誰でも知っている基本的な常識だ、という場合は、僕の方に問題があるのでしょう(笑
アッベ数
アッベ数は波長ごとの屈折率の違いを示す数字で、レンズを通過した光の分散量の大きさです。この数字が大きいほど、色分散は少なくなります。
レンズを通った光は色によって屈折率が異なるため、焦点を結ぶ位置は色のズレが出て、にじんだように見えます。白い紙に印刷された黒い文字の縁が黄色くなる現象は、レンズに色収差があるためです。
屈折率とアッベ数の関係
メガネレンズの屈折率については誰でも聞いたことがあると思いますが、メガネ店で聞く説明では、屈折率が高いほどレンズが薄くなるという範囲にとどまっていることが多いのではないでしょうか。
屈折率が高い = 値段も高い = 高級な良いレンズという思い込みをしているかもしれません。
レンズのアッベ数と屈折率は密接な関係があります。
一般的に、レンズの屈折率が高い = 薄いレンズほどアッベ数は小さくなり、屈折率が低い = レンズが厚いほどアッベ数は大きくなります。
(アッベ数はレンズの素材によっても変わりますので、数字は必ずしも比例しません)
アッベ数が小さい(屈折率が高い、薄いレンズ)ほど、色収差は発生しやすくなります。
つまり、メガネは薄いレンズの方が色のにじみが出やすくなるということです。
価格が高いレンズが必ずしもいいレンズではないという理由がこれです。
目安としては、アッベ数が40より大きい数字なら色収差に気づきにくく、35より小さい数字だと人によってはかなり気になるようです。
レンズは薄いほど比重が高くなる
レンズは一般的に厚い方が比重が軽く、薄いレンズは比重が重くなります。薄いレンズは体積は減りますが見た目ほど軽くはなりません。
(これも材質によるので、比重の数字は必ずしも比例しません)
薄くなるので屈折率の低いレンズより若干軽くなることが多いようですが、物によってはむしろ重くなる場合もあるようです。
屈折率とアッベ数、比重の関係
屈折率とアッベ数、比重はおおむね下表のような数字になります。
一般的にはこのくらいの数字になると思いますが、レンズによってはここから大きく外れるものもあります。
購入時には仕様の確認が必要です。
屈折率 | アッベ数 | 比重 |
1.76 | 30 | 1.49 |
1.74 | 31~33 | 1.47 |
1.70 | 36 | 1.41 |
1.67 | 31~32 | 1.35~1.37 |
1.60 | 40~42 | 1.30~1.32 |
1.56 | 42 | 1.27 |
1.53 | 43 | 1.11 |
1.50 | 58 | 1.32 |
アッベ数が40より大きいレンズを選ぼうとすると、おおむね1.60より屈折率が低い(=厚い)ものになります。
プラスチックレンズは歪む
プラスチックレンズは加工が適切になされていないと、フレームにはめ込んだ時に歪みが発生します。
歪みはレンズの種類( 偏光レンズで特に発生しやすい )、加工後のサイズ、フレームの形状や材質、温度変化によって変わるので、これが絶対正しい、という方法はないようです。
技術者の主観や技術レベル、加工にどれだけコストとリソースを割くことができるかによっても変わります。
レンズの加工を自動加工機まかせではなく、歪みが少なくなるよう調整している店舗ではこのことを告知していますが、多くの店では顧客に知らせることはないのではと思います。
薄いレンズほど劣化が早い?
プラスチックは経年劣化があり、UVカット効果も薄れてしまうため、寿命は5年ほどのようです。
また、プラスチックの薄いレンズには材料に硫黄が入っており、経年劣化で起こる黄ばみは薄いレンズほど早く起こるようです。
ガラスレンズという選択肢
プラスチックレンズの薄型化が進み、ガラスレンズに比べて軽く、割れにくいということで使い始めた方も多いと思います。僕もその一人ですが、何も考えることなくプラスチックレンズ一択でした。
光学的な性能だけ考えると、プラスチックレンズよりガラスレンズの方が優れている場合があります。
ガラスの方が透明度が高く、傷が付きにくく、熱や薬品に強く、同じ度数なら薄くできます。経年劣化もプラスチックに比べずっと遅くなります。
また、プラスチックレンズはフレームにはめ込んだときに歪みが出ることがありますが、ガラスは変形しません。
デメリットとしてはガラスの方が重くなり、割れる危険性があります。
現実的にはメガネ用レンズの95%程度はプラスチックレンズになっており、ガラスレンズは欲しくても選べないという場合が多いかもしれません。
薄型(高屈折率)レンズは必要か?
さて、ここまででアッベ数と屈折率、比重、レンズの歪み、ガラスレンズとの比較などについて書いてきましたが、全部ご存じでしたでしょうか?
カメラにある程度詳しい人でも、レンズのアッベ数まではなかなか知らないと思います。
下にリンクを貼ったお店では、このように度数からレンズの屈折率を選ぶ目安を紹介しています。
基本的に、厚みが気にならない範囲でアッベ数の数字が大きいものを選ぶのが良いと思います。
これまでの経験上、近視の方の場合、度数がS-3.00前後までは屈折率1.50で、S-4.50前後で1.60、それ以上で1.67〜で十分だと思います。(厚みはフレームの大きさにも関係しますが)
また、度数によっては標準タイプと高屈折タイプとの厚みがコンマ何ミリということもあります。めがね屋さんで良く相談され、よりよりレンズを選んでくださいね。
https://www.taiyomegane.com/company/knowledge/315/
僕のレンズは度数が-3.25~3.5前後なので、今回は屈折率が1.55~1.60を目安に選びました。
レンズは安かろう悪かろう?
あまり度が強くなければ屈折率が低めのレンズで十分、色収差も高屈折レンズより少なく、価格は安く、重量は大して変わらず、厚みが若干増すだけです。
価格は物にもよりますがかなり安くなりますし、デメリットよりメリットの方が多いと思います。
レンズに関しては、オーダーメイドのようなレンズを別にすれば、 安かろう悪かろうということはありません。
1年ほど前に作ったメガネは、初めての遠近両用だったので近所のメガネ店で作りました。
フレームとレンズのセット商品で価格は28,000円くらい。付いてきたレンズは1.74の高屈折レンズです。
全国チェーン店のメガネ店なので、そこの店長が個人的にどう考えるかは別にして、会社の方針としてこういうセットが作られるのだと思います。
アッベ数は不明ですが、色収差が気になることはありません。
結果オーライでしたが、今となっては説明不足の商品を買ったなあ、という気はします。
通販でレンズ交換してみた
フレームはまだ十分使えるのに、フレームとレンズのセットで買う方が割安になるというような理由で買い替える場合もありますが、普通に考えれば、レンズのみの交換で済むのならその方が安くなるはずです。
僕が今回試したのは、手持ちのフレームを送って入れ替えてもらうレンズ交換サービスです。
最近作ったメガネのデータがあるので、度数を指定すればそのまま作ってもらえますし、データが無くても送ったメガネと同じ度数のものを作ってもらうこともできます(変形したりコーティングが割れたようなレンズなどは測定できないので不可)。
メガネ店でレンズだけ入れ替えると、安いレンズでも5~6千円、オプションのコーティングなどを付けるとレンズのみでも1万円を超えるというような価格になります。
また、広告だけではレンズのメーカーや商品名がわからないことも少なくなく、聞いてもはっきりした返答がないこともあります。
通販のレンズ交換だとメーカーや商品名は最初からはっきりしており、価格も安いものならHOYA等の有名メーカー品でも1,000円台から、ブルーカットレンズでも3,000円程度で済むものもあります。
ただし、通販でもオプションのコーティングなどを付けると2~3倍の価格になるものも普通にあります。
この価格差は海外産の在庫用レンズと、国内産のオーダーレンズの差ではないかと思いますが、今回はオプションを付けなかったので不明です。
今回はブルーカット機能のあるレンズを4,000円程度で交換しました。往復の送料も含めてこの価格です。
結果...満足。
買うものが最初から分かっているので、よほどのことが無い限り想像からかけ離れたようなメガネが届くというようなことはまず無いのではと考えていましたが、届いたメガネにはなんら問題なく、普通に使うことができます。価格は実店舗の半額以下で済みました。
傷に強いコーティングなどのオプションを付けると、通販でもレンズの価格が倍くらいになるものも多くありますが、レンズは消耗品と割り切り、オプションは付けないか必要最低限にして安く済ませるのが良いのではないかと思います。
仮に交換回数が多くなっても、コストはほとんど上がらないか、むしろ安くなるような気がします。
今回は自分で調べてから購入したので、レンズについていろいろ知ることができましたが、お店任せにしていると必要のない高い買い物をしているかもしれないので、レンズの入れ替えに通販を使ったのは価格以上に良い選択だったと思います。
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