【読みだしたら止まらない本 24】ジュラシック・パーク / マイケル・クライトン

2020年4月28日

大ヒットした映画「ジュラシック・パーク」の原作。
手元にある文庫版は1993年の初版です。僕がこのブログで紹介している本の多くは絶版になっていますが、この本は現在も同じカバーデザインのまま販売されています。

カオス理論とシステムの崩壊

この小説は7章の構成ですが、各章は当時一種のブームになっていたカオス理論のドラゴン曲線のイラストとともに、第一反復~第七反復というタイトルが付いています。


第一反復:「フラクタル曲線の描きはじめには、そこに秘められた数学構造への手がかりはほとんど現れない」
第二反復:「フラクタル曲線から分岐線が派生すると同時に、唐突に変化が現れるかもしれない」
第三反復:「フラクタル曲線がさらに書き加えられると、細部がより鮮明になる」
第四反復:「必然的に、ひそんでいた不安定性が表に表れてくる」
第五反復:「システムの中の瑕疵は、そろそろ深刻になっていく」
第六反復:「ここにいたって、システムの復旧は不可能であることが判明するだろう」
第七反復:「次第に数学は、その意味に直面する勇気をもとめるようになる」
(ハヤカワ文庫版より)

小説では「完璧に設計されたはずのシステムが、不可避的にもろくも崩れ去る」様子が7つの段階に渡って克明に語られており、現代社会にある複雑なシステムが起こした事故は、これと同様の経緯を経て最終的な結果に至ったのではないかと思えることもあります。

過去に起こった飛行機の墜落や原発の事故といったものから、まさに今起こっているコロナ肺炎まで当てはまるものがあるかもしれません。
現在進行形のコロナ肺炎は、対策が後手後手に回って猖獗を極めつつあり、すでに「その意味に直面する勇気」の段階まで来ているような気もします。

もしかすると、遺伝子から生きた恐竜を再現すること以上に作者が書きたかったことは、このシステム崩壊の過程の方かもしれません。

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Posted by takumi-ya