ブレーキとアクセルの踏み間違え事故を防ぐために ― 左足ブレーキ [発進・後退・低速時限定] と [同乗者アシスト]
繰り返される踏み間違い事故
また悲惨な事故が続けて起こってしまいました。
高齢者が運転操作を誤って事故を起こす例は確かに多いように感じますが、若い人でも事故を起こさないという保証はありません。
いわゆる「踏み間違い」事故は、アクセルをブレーキのつもりで踏み、減速するはずが加速していくためパニックを起こし、アクセルを踏んだまま体が硬直して何もできず、そのままなにかに衝突して止まるまで暴走、というようなケースが多いようです。
自動ブレーキや自動運転などの技術も今後進歩していくと思いますが、すべての車に行き渡るまでにはまだかなりの時間がかかるでしょう。
なにも対策をしなければ、今後もこのような事故が繰り返されることは容易に想像できます。
ペダル踏み間違い事故の多くは発進時や後退時に起こっているという統計があります。
このエントリーでは、発進・低速・後退時のペダル踏み間違い事故の原因と対策について考察してみたいと思います。
~注意事項~
本稿では主に発進・後退時や駐車場内などの低速時の走行について考察しています。通常の走行や高速道路での状況は勘案していません。
また、この記事の内容は個人の考えで、内容が正しいかどうかを証明することはできませんし、記載内容を推奨する意図もありません。
この記事の内容を実践しても、その結果生じた事についての責任は一切持てませんので、自己責任でお願いします。
原因 ―― なぜ踏み間違えるのか
踏み間違い事故はドライバーの「操作不適事故」ということになり、ドライバーが悪いという話になることが一般的です。
それはまあ、そうでしょう。
が、それだけではないような気がします。
ペダル配置の問題
池袋で事故を起こした車は2代目のプリウス(2005~2011年)でした。
僕が運転したことがあるプリウスは3代目だけなのですが、ペダルがかなり左寄りになっていたような記憶があります。
2代目プリウス(Wikipedia)
プリウスに限らず、軽自動車やコンパクトカー、右ハンドルの輸入車等も左寄りのペダル配置になっているものがあります。
一般的には、ステアリングの中心を基準にしてブレーキペダルがやや右寄りになっているあたりが標準的なブレーキペダルの位置と思いますが、ネットで調べてみると、車種によってはステアリング中心よりブレーキペダル全体がほぼ左側に入っていて、左足ブレーキ用に作ったのかと思うほど左に寄っているものもあります。
ブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまう大きな原因のひとつが、この左寄りのペダル配置にあると思います。
(マツダのペダルレイアウト説明より)
左寄りのアクセルペダルを踏むには脚も左に寄せなければならず、もっと左にあるブレーキペダルを踏むにはさらに脚を動かさないといけません。
この動作は脚の動きが悪くなった高齢者には特に負担になり、ブレーキを踏んだつもりでも脚が左に充分に寄らず、アクセルを踏んでしまうのではないかと思います。
事故が起こるたびに、またプリウスか、と思う人は少なくないと思います。
売れている台数が台数なので、事故の数もそれに比例して多くなるということはあるでしょうが、やはりこのペダル配置も一因では? とそのたびに考えてしまいます。
国産ではマツダが多くの車種で採用しているオルガン式のアクセルペダルは、マツダの調査では採用を始めてからペダル踏み間違い事故が86%減少したということです。
ペダルの踏み方
ペダルを踏み換えるとき、かかとを軸にしてアクセルとブレーキを踏み換える方法と、脚を持ち上げるようにしてペダルを踏み換える方法があります。
運転しているときにどちらで行っているか、自分ではっきり認識している人は少ないかもしれません。
ここではどちらが良いとか悪いとかの話はしませんが、急ブレーキを踏む場合は脚を持ち上げ、勢いをつけるようにして思い切りペダルを踏みつけないと急ブレーキは踏めません。
加齢等で脚の動きが悪くなっている人があわてて急ブレーキを踏もうとする場合、脚の持ち上げ方が足りずにブレーキの上まで足を移動できず、そのまま踏み下ろしてアクセルペダルを誤って踏んでしまうケースがあるのではないかと思います。
このとき、「左寄りのアクセルペダル」が、踏み間違いを助長する原因になっていると思われます。
クリープ現象
一般的にオートマチックトランスミッションの車には、セレクターがDレンジに入っているとき、ブレーキを緩めると車が動き出す「クリープ現象」があります。
初期のCVTはクリープ現象がないタイプでしたが、クリープ現象のようにゆっくり動き始める動作がないと運転しにくいというクレームが出たため、トルクコンバーターを付加するなどしてクリープ現象を意図的に作り出しています。
AT車の多くはブレーキを緩めるとクリープ現象で車がゆっくり動き始めるという特性があるため、極低速域ではクリープ現象を使って車を動かしているドライバーが多いと思います。
しかし、クリープ現象を使って車を動かすというのは、ブレーキを緩めて加速するというイレギュラーな操作方法になります。
アクセルペダルを離せば車が減速するというのは当然ですが、ブレーキを離して加速するというのは普通に考えて異常な動作です。
車庫入れなどのとき、片足で2つのペダルを何度も踏み変えているうちにブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまうというようなことが起こり、事故の原因になります。
原則に反したペダル操作が事故の元
自動車のペダルは、アクセルを踏む=加速、アクセルを離す=減速、ブレーキを踏む=減速・停止、ブレーキを離す=制動力を減らす、なくすという原則に反した操作をするべきではありません。
クリープ現象を使った運転は、この原則を守れません。
(e-Pedalのようなシステムは全然別の話です。念のため)
公的な機関などが発行した「踏み間違い防止」方法で、クリープ現象を積極的に使いなさいという趣旨の記述をしていることがありますが、クリープ現象でドライバーの意志と関係なく車が勝手に動きだすのを容認しなさいと言っているようなもので、事故防止にはならないのではと思います。
クリープ現象は「車がドライバーの意思と関係なく勝手に動く」「ペダルの踏み間違いを誘発する」ことを常に意識することが必要だと思います。
踏み間違えると修正できない心理
ブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまったとき、ドライバーは自分では正しい行動をしていると思いこんでいるので、おかしいと思ってペダルを踏み直すのではなく、さらに強くペダルを踏んでしまうということがあるそうです。
その他の原因
・アクセルとブレーキという正反対の機能を持ち、同じ「踏む」という操作をするペダルが並んでいることがそもそも問題。
・車の運転では、ブレーキよりアクセルの方が踏む回数や時間のほうが多いので、つい慣れている方のペダルを踏んでしまう。携帯電話に着信があるなどして注意がそれることがあると、踏み換えをすること自体を忘れてそのままアクセル踏んでしまう。
・停止状態からブレーキを離した後、クリープ現象やなんらかの原因で車が意図せずに動く場合があり、あわててブレーキを踏むつもりでアクセルをベタ踏みしてしまう。
対策 ―― 踏み間違いを起こさない方法
現時点での対策は、自動ブレーキや踏み間違い防止装置といった車に装備される機能で行っているものがほとんどだと思います。
自動ブレーキや踏み間違い防止装置は万能ではありません。すべての車に付いているわけではありませんし、100%確実に動作するという保証もありません。
ナルセペダル等の機械的な後付け装置もあり、一定の効果を認められているものと思いますが、価格や取り付け等の問題があり、純正品以上に普及することはないと思います。
左足ブレーキの優位性
一般的な2ペダルAT車で、機械に頼らず、そもそも暴走を起こさない運転をするには、少なくとも発進時や低速時、後退時に限っては、左足ブレーキに勝るものはありません。
これは僕が20年以上、左足ブレーキ(通常運転時は右足ブレーキ)を実践してきた結論です。
左足ブレーキについては賛否両論ありますが、ほとんどの意見や議論は「スピードがある程度出ている状態」からのブレーキングについてです。
本稿は「発進・低速・後退時」のブレーキ操作がテーマなので、書いていることの半分は「停止状態からブレーキペダルを離す」ことについてですが、これについての議論は全く見たことがありません。
ということで、反論を読んだことがないという前提での考察です。
左足ブレーキのメリット
左足ブレーキでは左右のペダルを片足で踏み分けるという動作をしないので、踏んでいるペダルを間違えるということがありません。特に、後退時に体をひねって後ろを向いているときに足の位置がズレてしまい、踏み間違えるということがなくなります。
さらに、ペダルを操作する足を分けることにより、ブレーキを離す→アクセルを踏む、アクセルを離す→ブレーキを踏む、というように両足を交互に上げ下げする動作になります。
意識的にやらない限り、両足は常に逆方向に動きますので、両方のペダルを一緒に踏んだり離したりという操作は起こりにくくなります。
(このペダル操作はマニュアル車のアクセルとクラッチの動きと一緒です)
加えて、日常的に左足ブレーキを発進時や車庫入れ等で使っている人であればわかると思いますが、左足がブレーキを緩めない限り、車は動かないのです。
この左足ブレーキの絶大なメリットについては、ネットで検索してもなぜか全く見つかりません。
左足ブレーキでは常に坂道発進をしているようなもので、ドライバーが自分の意思でブレーキを緩めます。
右足だけで2つのペダルを操作するという制約上、アクセルペダルに足を載せたらブレーキがフリーになってしまう右足ブレーキでは、「常時坂道発進」は絶対にできません。
踏み間違い事故の多くは発進時や低速時、後退時に起こっているという統計がありますが、左足ブレーキはこのような事故を減らすために特に有効と思います。
左足ブレーキはクリープ現象を無効にする
左足ブレーキでは、クリープ現象に頼った運転をする必要がありません。むしろ、ドライバーが意図してブレーキを緩めるまでは車が勝手に動くことを許さない、「クリープ殺し」という運転方法です。
現実的には、車がクリープで動くという設計になっている以上、左足ブレーキでも結果的にクリープで車が動いているというのはごく普通の状況です。
しかしドライバーの意識の上では、ブレーキをリリースするという操作は加速するためではなく、制動力を緩めるためであり、ペダル操作の原則を守ることができます。
もちろん、操作するのが人間である以上、ミスが絶対に起こらないということはありません。
ですが、右足ブレーキでブレーキペダルから足を離し、ブレーキがフリーになる時間が発生する操作方法と、ドライバーの意思でブレーキを緩めるまで車が動かないという操作方法と、どちらが安全かは自明です。
左足ブレーキのデメリット
左足ブレーキは難しくはありませんが、それなりに練習が必要です。これがいちばんの課題でしょう。
年齢が40~50代くらいならなんとかなるかもしれませんが、60~80代ともなるとかえって混乱の元になる可能性もあるので、これから高齢者に習得させるというのは現実的ではないかもしれません。
そうはいっても、誰でもいつかは後期高齢者です。高齢者予備軍で希望者には今から習得してもらうという議論があってもよいと思います。
個人的な考えでは、すべて左足でブレーキングを行う必要性はなく、例えばある程度の速度までは左足をブレーキペダルの上に載せておいて、必要がなくなれば左足はフットレストに戻し、以降は右足ブレーキというように使い分ければよいと思います。
右足=アクセル・左足=ブレーキと、役割を完全に分けるという方法を実践している方も一定数おられるようですが、本人がやりやすければどちらでもよいのではないかと思います。
対処 ―― 暴走を始めてしまったら
暴走を始めてしまったら、落ち着いてペダルから足を離す、ブレーキを踏み直す、セレクターをニュートラルに入れる、サイドブレーキを引くなどの対処方法はありますが、咄嗟にそういったことができないので事故に至ってしまいます。
それでも、暴走時の対処方法を頭の片隅に留めているドライバーと、考えたこともないというドライバーでは、結果に大きな差がでることもあるでしょう。
実際にできるかどうかは別にしても、対処方法を知っておくことが大切です。
自分が何のペダルを踏んでいるのかわからなくなったら、両方のペダルを踏む
こちらのブログで紹介されている方法です。
ブレーキを踏んでいるはずなのに加速してしまい、パニックになってどちらのペダルを踏んでいるのかわからない、という状態になってしまったら、両方のペダルを思いきり踏んでしまう、という最終的な対処方法です。
アクセルとブレーキを両方踏んだ場合、よほど大馬力のエンジンを積んでいるか、ブレーキが壊れていない限り、ブレーキが勝ちます。
最近の車はブレーキオーバーライド(BOR)という、同時踏みした場合にアクセルをキャンセルするシステムがあるものも増えています。
注意点としては、一般的なガソリンエンジン車の場合、ブレーキの踏み直しをしないこと。
ブレーキは倍力装置で踏む力を強くしていますが、踏み直しをすると力が弱くなってしまいます。
いちばん避けなければならないのは、アクセルだけを踏み続けて暴走することです。
同乗者によるアシスト
暴走を始めてしまった場合、ドライバーが冷静にアクセルを離すなど対処できればいいのですが、パニックになって何もできないかもしれません。
もし助手席に誰かが乗っていたら、できることがあります。
現在は全く議論もされていないと思いますが、ニュースを見ていると、助手席に誰かが座っているのに何もせず、暴走しているのを助手席から傍観しているだけと思われる事故があるように見受けられます。
ドライバーがパニックに陥って、自分が踏んでいるのはブレーキではなくアクセルだということに気づくのに時間がかかる場合であっても、同乗者の目線からは、単に暴走を始めたという事実が見えるだけです。
暴走している理由を考える必要はなく、機械的になにをすればいいのかを知っていれば、事故に至る前に対処できる可能性もあります。
助手席からできること 1 ―― セレクターをニュートラルに入れる
何らかの原因で意図せずアクセル全開になったとしても、セレクターをニュートラルに入れて駆動を切ってしまえば、いくらアクセルを踏んでも空ぶかしになるだけです。
運転に不安がある場合、できるだけ助手席に誰かに乗ってもらい、もし暴走し始めたらセレクターレバーをニュートラルに入れる、と毎回言っておくというのは事故防止の一つの方法です。
注意点として、Dレンジの横にマニュアルシフトのあるセレクターは手前に引いても動きませんが、Dの手前にSやL、B等のポジションがあり、ゲートがストレートでボタンを押さずに手前に引ける場合、間違って引いてしまうとシフトダウンしてかえって危なくなるかもしれません。
また、インパネシフトやコラムシフト、ダイヤル式、ジョイスティック式などのセレクターは、センターコンソールのシフトレバーに比べ遠い位置にあったり、操作方法が異なったりするので、咄嗟にやろうとしてもできないかもしれません。
ジャガーXEはマイナーチェンジでダイヤル式のセレクターをレバー式(ジョイスティック)に変更しています。こういう修正は良いと思いますが、ジョイスティック式は走行中ニュートラルに入れようと操作してもすぐに入らないものがあるようです。
プリウスのシフトレバー
以前から操作ミスを引き起こす原因になっているのではないかと言われているのがプリウスのジョイスティック式シフトレバーです。
ホンダや日産などでもこのようなタイプのセレクターを採用している車があります。
上のジャガーやBMWのジョイスティック式はシフトパターンが従来の直線的な操作方法を踏襲しているのに対し、日本車のジョイスティック(ハイブリッドやEV)は左→上のような操作方法になっています。
駐車場などで前進と後退を繰り返すとき、どう動かすのかわからなくなるようなデザインのような感じはします。
ちなみに、プリウスはシフトレバーを約2秒以上[N]にするとニュートラルに入るそうです。
助手席からできること 2 ―― サイドブレーキを引く
ギアをニュートラルに入れてもまだ速度が出ている場合、減速のためにサイドブレーキを引くのも一つの方法です。
多くの車種ではブレーキは後輪のみにしかかからず、ブースターもないので制動力は低いですが、性能的には一応30km/hから27m以内で停止すると法律で定められています。
最近では少なくなってきた、レバー式のサイドブレーキが付いている車に乗っている人は、助手席の人に「セレクターをニュートラルに入れたら、サイドブレーキを引け」と教えておくとよいでしょう。
ただし、直線でステアリングが真っ直ぐであればあまり問題ないと思いますが、速度がある程度出ていて、舵角が付いているときに思い切りサイドブレーキを引くと車がスピンしたり、最悪は転倒する可能性もあります。それでも場合によっては減速しないよりマシかもしれませんが...
足踏みペダル式のサイドブレーキは助手席からは踏めないので、安全性という観点からみると避けた方がいい車ということになります。
最終手段としては、セレクターを強引にパーキング(P)に入れるという方法もありますが、急激に減速はせず(車種による)、5~7Km/h程度まで速度が落ちてからタイヤがロックするようです。トランスミッションが壊れる場合もあるようですが、車は壊れても直せば済むことです。
電動パーキングブレーキ
最近は電動パーキングブレーキ(EPB)が増えていて、Dセグメント以上はもとより、BセグやCセグも電動になりつつあります。
EPBは走行中に一定時間スイッチが入ると制動をかけるようになっていますが、緊急時にスイッチを探しているようではいざというときに操作できないので、位置と操作方法を熟知しておく必要があります。
最近は大型観光バスで運転手が意識不明になった場合など、乗客が非常ブレーキボタンを押すと緊急停止する機能が付いているそうです。
メーカー(BMW、ボルボなど)によってはEPBのスイッチが一定時間入ると四輪にブレーキをかける緊急用の機能を持たせたものがあります。
走行中のEPBの動作は自動車メーカー/車種によってまちまち
従来のセレクターとワイヤー式サイドブレーキであれば、ニュートラルに入れてサイドブレーキを引き始めるまで、空走時間を入れなければ1秒程度で減速操作を始めることが可能でしょう。
新型車に増えつつある、ジョイスティック式シフトレバーとEPBだと、ニュートラルに入るまで2秒、サイドブレーキスイッチを引き続けてブレーキが効き始めるまで2秒とすると、空走時間を入れなくても4秒程度はかかります。
1秒間で、どれだけ車は進むでしょうか。
時速40kmだと1秒で約11メートル進みます。ブレーキが効き始めるまで4秒かかるとすると、44メートルも先に進んでからようやく減速が始まるのです。
ドライバーか助手席にいる人が、フットブレーキ以外の方法で車を減速させようとして、冷静に操作できたとしてもこうなります。また、どちらの操作方法でも、減速操作を開始してから実際に減速が始まるまでの空走時間が加算されるので、さらに時間がかかります。
最近のEPB装備車は、EPBスイッチを引いたままにすると4輪にブレーキがかかるタイプが増えているようです。このシステムだとニュートラルに入れる必要もなく、アンチロック・横滑り防止機構も働くので、緊急時に最短距離で停止することが可能だと思います。
YouTubeで「electronic parking brake while driving」などで検索して動画を探すと、多くの車種はEPBのスイッチが入るとほぼタイムラグなしで動作しているようです。
しかし国産車の取扱説明書をいくつか見てみたところ、走行中にEPBスイッチを引き続けた場合、EPBが作動するまでにかかる時間や、4輪ブレーキが効くのか、後輪のパーキングブレーキのみ動作するのか、アクセル操作はキャンセルされるのか、というような説明がないものがほとんどです。
車種によっては、「アクセルペダルから足を離し、EPBスイッチを引く」と記載されているものもあり、言葉通りに解釈するとアクセルを踏みっぱなしでは動作しないことになります。
(本ページの最後に各メーカーの取説に記載されている、緊急時EPB動作の部分を引用し掲載しています。)
流行に遅れまいとジョイスティックとEPBの採用を進めるのは、自動車メーカーの販売戦略としてしかたがないのかもしれませんが、EPBスイッチを走行中に引いた場合、どのように動作するのかを明記し周知してほしいと思います。
また、EPBが誤動作したというような話も聞いたことがあるので、バックアップとしての機械的な部分(サイドブレーキレバーで動作する機械式パーキングブレーキ)は残したほうがいいと思います。
まとめ
まとめ
・ペダル位置が踏み間違いを起こしにくいレイアウトの車を選ぶ
・クリープ現象が事故の原因になることを意識する
・できれば発進・後退は左足ブレーキで行う
・運転に不安がある場合はできるだけ助手席に誰かを乗せ、緊急時の操作(セレクター、サイドブレーキ、EPB)を乗るたびに教える
・EPBを緊急ブレーキとして使う場合、どういう動作をするか理解しておく
[動画]アクセルが戻らなくなったらどうする?
アクセルが戻らなくなったら、ステアリングもブレーキもそのまま使えるので、セレクターをニュートラルに入れるのが最もよい選択なのは明らかである、とのこと。
セレクターをニュートラルに入れる 5:35~
参考 EPBの緊急ブレーキとしての使用について 以下取説より引用
(下線は筆者)
トヨタ・クラウン(2018年):緊急時、走行中にパーキングブレーキをかける必要があるときは、スイッチを引き続けてください。
トヨタ・スープラ(2019年):走行中に使用する場合は緊急ブレーキ機能として働きます。スイッチを引き上げ、保持します。車両は、スイッチが引かれている間、強くブレーキをかけます。メーターパネルの表示灯が赤色に点灯し、信号音が鳴り、ブレーキライトが点灯します。
日産・セレナ(2018年):走行中、非常事態で電動パーキングブレーキをかける必要が生じたときは、電動パーキングブレーキスイッチを引き上げ続けてください。ブザーが鳴り、電動パーキングブレーキがかかります。スイッチから手を離すと、電動パーキングブレーキは解除されます。
ホンダ・レジェンド(2018年):走行中にパーキングブレーキスイッチを引き続けると、その間はパーキングブレーキがかかります。
マツダ3(2019年):走行中にブレーキシステム (フットブレーキ) が故障した場合、EPBスイッチを引き続けると、その間はブレーキがかかり、車両を減速・停止させることができます。ブレーキ作動中は、EPB警告チャイムが鳴ります。また、スイッチから手を離すと、ブレーキは解除され、チャイムが停止します。
マツダ6(2019年):走行中に、EPBスイッチを引き続けると、その間はパーキングブレーキがかかり、パーキングブレーキもどし忘れチャイムが鳴ります。スイッチから手を離すと、パーキングブレーキは解除され、チャイムが停止します。
スバル・レガシィ(2018年)ブレーキシステム(フットブレーキ)が故障した場合は、非常ブレーキとして電動パーキングブレーキスイッチを引き続けることで車両を停止させることができます。非常ブレーキを使用中は、メーター内の電動パーキングブレーキ作動灯および電動パーキングブレーキスイッチ内の作動表示灯が点灯し、ブザーが鳴ります。非常ブレーキ作動時にエンジンルーム付近から音が聞こえることがありますが、 VDCシステムによるブレーキが作動している状態であり正常です。
三菱・エクリプス クロス(2018年): フットブレーキが効かないなどの緊急時に電動パーキングブレーキをかける必要があるときは、電動パーキングブレーキスイッチを引き続けてください。スイッチを引き続けている間、電動パーキングブレーキがかかります。このとき、ブザーとともにインフォメーション画面に警告が表示されますが、スイッチを引き続けてください。
メルセデス・ベンツ:未確認(取説の閲覧にユーザー登録が必要)。
BMW:未確認(取説の閲覧にシャシーナンバーが必要)。
ジャガーXE(2016年):緊急時には、車速 3 km/h (2 mph) 以上で走行中の場合、アクセル ペダルを離し、EPB スイッチを引き上げて保持すると、徐々に減速します。これを使用して車両を完全に停車させます。ブレーキ警告灯が警告音とともに点滅し、メッセージ センターに警告メッセージが表示されます。またストップ ランプも点灯します。EPB スイッチを解除するか、アクセル ペダルを踏み込むと、EPB が解除されます。
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