【読みだしたら止まらない本 10】 デジデリオ ―前世への冒険― / 森下典子

2020年3月15日

デジデリオという、ルネサンス期にフィレンツェで活躍した美貌の彫刻家が、500年前のあなたです―そう占いの人に言われたことがきっかけで、ついにイタリアまで行くことになってしまった著者。まるで、彼が呼び寄せてでもいるかのごとく、相次ぐ偶然の発見に、驚愕と深い懐疑を抱きながら、時空を超えて自分を検証する、スリリングで不可思議な冒険旅行記。

 

『デジデリオラビリンス―1464・フィレンツェの遺言』
1995年に出版されたこの本は、著者の森下典子さんが前世を見ることができる女性と会い、「あなたの前世はルネッサンス期にイタリアで生まれた、デジデリオという名前の彫刻家」と言われたことから始まる旅の様子を書いたもの。

京都に住んでいる女性に前世を見てもらった著者は、女性が語る自分の前世はよくできた作り話ではないかと疑いながら、しかしそうとも言い切れない部分があることを感じます。
前世の自分だという「デジデリオ」について調査をしていくうち、とうとう他の仕事を後回しにしてイタリア・フィレンツェへ旅立つことになります。

歴史の中に埋もれた天才的な彫刻家・デジデリオのかすかな足跡を追って、イタリアからポルトガルへ調査を進めるくだりは、良質なミステリー小説なみにスリリングです。
また、著者は前世で恋人だった人物が、現在の日本に生まれ変わっていて、そのうちに著者とその人は合うことになるんじゃないかと言われました。

2000年に出版された文庫版は大幅に加筆されたということでしたが、いくつかの謎が残ったままになっていました。この2冊はどちらも出版後しばらくして絶版になっていましたが、2007年に『前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って』というタイトルで復刊になったことを知り、「その後」が知りたくなって買いました。
前の2冊で謎のまま残っていた部分は...

読書

Posted by takumi-ya