最強のスポーツ選手は誰だ?

2019年9月23日

スキージャンプ女子の高梨沙羅選手が2月16日の平昌大会でシーズン9勝目を挙げ、通算53勝目をマーク。
グレゴア・シュリーレンツァウアー(オーストリア)の持つ歴代最多の通算53勝に並びました。

ふと疑問。
高梨沙羅の勝率はとんでもなく高いけれど、他のスポーツはどうなのか?
スポーツはあまり見ないのでかなり限定された範囲ですが、いちばん強い選手の勝率や3位以内(表彰台)の回数を調べてみました。

 

スキージャンプ

その高梨沙羅の勝利数と出場回数を調べてみるとこのようになりました。

出場回数 89回
1位 53回 59.6%
2位 19回 21.3%
3位 6回 6.7%
3位以内 78回 87.6%

勝率6割、表彰台は9割近いというとんでもない成績。

次にスキージャンプ歴代2位のグレゴア・シュリーレンツァウアーの成績。

出場回数 222回
1位 53回 23.9%
2位 20回 9.0%
3位 15回 6.8%
3位以内 88回 39.6%

歴代3位の”鳥人”マッチ・ニッカネンの成績。

出場回数 130回
1位 46回 35.4%
2位 22回 16.9%
3位 8回 6.2%
3位以内 76回 58.5%

普通の選手だと1位がいちばん少なくて3位がいちばん多いというパターンではないかと思いますが、3人とも見事に逆。

では他のスポーツで強い選手の成績を見てみます。
個人競技で、ワールドカップ/世界選手権のようなスポーツで、思いつくもので比較してみます。

 

アルペンスキー

歴代勝利数1位はスラロームとジャイアントスラロームで無類の強さを誇ったインゲマル・ステンマルク。他の選手に「僕らにとっては、2位が1位だ」といわしめた選手です。

出場回数 230回
1位 86回 37.4%
2位 43回 18.7%
3位 26回 11.3%
3位以内 155回 67.4%

歴代2位と3位は女性で、2位のリンゼイ・ボンは出場376戦、77勝で勝率20.5%。2位が31回(8.2%)、3位は19回(5.1%)。表彰台は33.8%。
歴代3位のアンネマリー・モザー=プレルは出場175戦、62勝で勝率35.4%。2位は32回(18.3%)、3位は20回(11.4%)。表彰台は65.1%。

ステンマルクはスラローム系のスペシャリストですがボンとモザー=プレルはスラロームからダウンヒルまで出場するオールラウンダー。

 

F1(フォーミュラ1)

次にF1。
歴代勝利数1位は”皇帝”ことミハエル・シューマッハ。

出場回数 308回
1位 91回 29.5%
2位 43回 14.0%
3位 21回 6.8%
3位以内 155回 50.3%

優勝回数歴代2位のルイス・ハミルトンは出場188回、53勝で勝率28.2%。2位が28回(14.9%)、3位が23回(12.2%)。表彰台は55.3%。
3位のアラン・プロストが出場200回、51勝で勝率25.5%。2位が35回(17.5%)、3位が20回(10.0%)。表彰台は53.0%。

ちなみに歴代5位のアイルトン・セナの成績。

出場回数 161回
1位 41回 25.5%
2位 23回 14.3%
3位 16回 9.9%
3位以内 80回 49.7%

 

WRC(世界ラリー選手権)

次はWRCのセバスチャン・ローブ。WRCは完走するだけでも大変なのに、勝率が5割近く、表彰台が7割というのはとんでもない成績。

出場回数 169回
1位 78回 46.2%
2位 29回 17.2%
3位 9回 5.3%
3位以内 116回 68.6%

上の表はWRCに出場したすべての戦績ですが、そのうち12戦は下位カテゴリーでの参戦です。クルマの性能が違いすぎて上位クラスの車両がすべてリタイアでもしない限り優勝はまずないので、トップカテゴリーでの参戦に限って集計すると下の表の通りになります。

出場回数 157回
1位 78回 49.7%
2位 29回 18.5%
3位 9回 5.7%
3位以内 116回 73.9%

また、下位カテゴリーで出場した12戦でクラス優勝が8回、2位が1回あるので、それを加えると下記の通り。

出場回数 169回
1位 86回 50.9%
2位 30回 17.8%
3位 9回 5.3%
3位以内 125回 74.0%

WRC勝利数歴代2位のセバスチャン・オジェは出場112回、39勝で勝率34.8%。2位が12回(10.7%)、3位が7回(6.3%)。表彰台は51.8%。
(下位カテゴリーでの参戦を除くと出場93回、39勝で勝率41.9%。2位が12回(12.9%)、3位が7回(7.5%)。表彰台は62.4%。下位カテゴリーでのクラス優勝を含めると出場112回、52勝で勝率46.4%。2位が12回(10.7%)、3位が7回(6.3%)。表彰台は63.4%。)

勝利数歴代3位のマーカス・グロンホルムは出場152回、30勝で勝率19.7%。2位が22回(14.5%)、3位が9回(5.9%)。表彰台は40.1%。

ちなみに勝利数歴代4位のカルロス・サインツは出場196回、26勝で勝率13.3%。2位が36回(18.4%)、3位が35回(17.9%)。表彰台は49.5%。ここで取り上げた選手の中で唯一、2位と3位の回数が1位より多くなっています。

セバスチャン・ローブは2013年で現役を引退していますが、2018年にスポット参戦したWRCラリー・スペインで79勝目を挙げています。
フルタイムで走らなくなって5年も経ってから優勝されてしまったら、ほかの選手の立場がないですね。

 

誰が最強のスポーツ選手なのか?

スキージャンプはスタートから着地まで10秒前後、アルペンスキーは1分30秒~3分位、F1は300km位(2時間ほど)、WRCは3~4日間、総走行距離が1500kmくらい、スペシャルステージ(タイム計測区間)が350~400kmくらい。

競技自体が全く違うので直接の比較はできませんが、こうして見ると強い選手はやはり、1位を取ることに対するモチベーションがかなり強いのだと思います。
インゲマル・ステンマルクは現役時代、2位になるくらいなら転んだ方がまし、と公言してましたし、2位や3位だと表彰式をすっぽかして帰ってしまったとか。

僕の考えでは以前はステンマルクが最強で、それをセバスチャン・ローブが抜いた、という感じだったのですが、高梨沙羅の強さも規格外。
女子スキージャンプの今年の最後の試合は3月11日に行われる第19戦オスロ大会ですが、高梨選手が歴代最多勝利を更新するのを期待したいと思います。